院長
原田俊一

飯能靖和病院 院長

現在の仕事についた経緯は?

脳神経外科・救急医療に専従して30年以上、救命至上主義的なメリハリの利いた日々を送っておりましたが、次第に治療よりも予防にシフトし、アンチエイジングや人間ドック関連分野に裾野を広げていく中で、結局最終的には老・死を迎える人間の宿命に向き合い死生観を確かなものにする必要から、慢性期多機能病院というフィールドを選択、現在に至っております

仕事へのこだわり

患者一人一人との出会いを大切にし、個々の持つ物語を読み取るように努めることを心がけています。「病をみずに病人をみる」アプローチに近いのかもしませんが、むしろ「一期一会」であるからこそ職業倫理として、全人的に患者を理解すべく、対話を重視しています。対話からしか相手の理解は得られない、こちらの意思も伝わらないと心得て「言葉」を大事にしています

そう思えるようになったきっかけ

そもそも医学は科学か?という命題があります。よく、ー医学は科学で医療はその社会的応用ーという理屈が引き合いに出されますが、果たして本当か?EBMやガイドラインは科学的根拠として重要視され流布していますが、使い方を誤ると思考停止に陥る、あるいは責任の回避といった危険をはらむ両刃の剣、ある意味毒を含んでいます。特に高齢社会の医療にあっては個体差は無視できず、ガイドライン至上主義的なアプローチではいい結果にたどり着けない、という危惧を抱いています。むしろ科学的な医療から距離を置いて、そもそも人間とは何かという人文学的視座で患者をとらえ包み込む、自分の頭で病のなりたちを患者の生活史から考え導き出す、こんな作業を繰り返すことが大事である、と認識するようになったからです

今後の目標

歴史(日本史・世界史など)を学び直し、哲学や宗教・神学にも理解を深めるべく、読書をこころがけ、職業倫理、死生観をより確かなものにしたいと思います。立ち止まって考える癖をつけ、安直な思考回路に陥らないように職員にも教育していきたい、と考えます。結局人間に対する洞察を深めていくことでしか、この仕事の醍醐味は得られない、ということだと思います。