理事長
山内泰介

山内クリニック 理事長

愛媛大学医学部、同大学院卒業。同 外科学第二講座入局。
野口病院(別府市)、東京女子医科大学 内分泌外科(当時)、伊藤病院(渋谷区)、埼玉医科大学川越総合医療センター内分泌糖尿病内科(客員准教授)にて甲状腺診療の研鑽を積む。
現在、医療法人山内クリニック(さいたま市)にて甲状腺専門診療に従事する。

現在の仕事についた経緯は?

小学校の開校記念日に、将来の夢を短冊に書くと言う行事が毎年ありました。小学生2年生の時に書いた夢は「競輪選手」になることでしたが、3年生からは「医者」と書き憧れが芽生えていました。5年生の夏、自転車に乗っていて交通事故に遭遇し大怪我をしました。父が連絡を受け病院に駆けつけると、警察官が「もうだめだろう」と電話をしていたそうです。その病院は姉の同級生の実家で、大学病院に勤務している親族が当時の開業医にはない最新の検査機器を借りてきてくれるなどして一命を取り止めことができました。その時の小学校の担任の先生は、入れ代わり立ち代わりクラスメイトを引率しお見舞いに来てくれ、励ましの品を作ってくれました。医師を尊敬し、周囲の人たちに感謝し、心配をかけた家族に恩返しをしたく、医師になることを決意しました。この頃より憧れから医学部に入学するという現実的な目標を立てていました。

仕事へのこだわり

現在、甲状腺専門クリニックで診療をしています。甲状腺疾患の一時医療、すなわち、幅広く甲状腺の病気を診て外来でできる治療を行っています。蝶々が羽を広げて休んでいるような美しい形をした甲状腺が醜いガンに侵されとその美しさが損なわれ、憎きガンを徹底的にやっつけたくなります。患者と医師は、医療を受ける側提供する側という関係だけではなく、お互い協力して病気 怪我と共に闘うパートナーという関係でもあると思います。両者が協力して勝利を収めるには、ときには議論を交わしたり、戦略を練ることもあります。その目標はただ一つ、治癒です。

そう思えるようになったきっかけ

「巧言令色鮮なし仁」(ルビ:こうげんれいしょくすくなしじん)
ーーー言葉巧みに飾り立てたり善人らしく装うのは自分のためという本心があり、思いやりに乏しいものである。ーーー
タバコは、甲状腺に対しても例外ではなく悪影響を及ぼします。診察室に入ってくるだけでタバコの強烈な匂いがする中年の女性がいました。甲状腺ホルモン値が安定しない一つの要因に喫煙が考えられるので禁煙を勧めたところ、「今まで止めるように強く言われたことがないので、止められなかった。」との事でした。そこで来院のたびに「タバコの匂いがします、禁煙して下さい。」と強く言い続けました。言う方も嫌ですが、聞く方はさらに嫌だったと思います。しかし通院を止めることなく継続し禁煙してくれました。

「之を知るは之を知ると為し、知らざるは知らずと為す、是知るなり。」(ルビ:これをしるはこれをしるとなし、しらざるはしらずとなす、これしるなり)
-ーー知っていることは知っているとし、知らないことは正直に知らないとすることが真に知っていることになる。ーーー
私のクリニックは、無床診療所ですので、大きな検査、入院手術等が必要な時は、高次医療機関に紹介しています。また小児の甲状腺疾患はれながら多種類あり、私が経験したこともない病気もあります。そのような場合は当院では治療できないことを説明し、小児科を紹介しています。

今後の目標

甲状腺は単一臓器ですが、甲状腺ホルモンは全身に送られさまざまな役割を担っています。したがって甲状腺のある頸部だけを診るのではなく、心臓、肝臓、腎臓、骨などの臓器を診て、甲状腺ホルモン異常に起因する高血圧症、不整脈、肝機能異常、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症などの全身の病変を診るように心がけています。オタマジャクシがカエルになる変態に、甲状腺ホルモンが必要だそうです。ヒトの二次性徴にも甲状腺ホルモンが大切な役割を担っていて、十代後半の思春期には多くの甲状腺ホルモンが使われるため、それに見合った量を作る甲状腺は全体が大きくなります。これが「思春期甲状腺腫」で、成長の過程で起きるものなので特に治療の必要はありません。反対に高齢になると体が必要とする甲状腺ホルモン量が減少するので、血中の甲状腺ホルモンも少なめになります。少ないからといって ただちに薬を使うのではなく、年齢などを考えその人に合った治療方法を選択します。

また不妊治療をしている方は甲状腺機能が正常範囲内であっても高めであれば妊娠には有利に働くため、本来飲まなくてもよい薬を飲んで貰うことがあります。病気だけを診るのではなく、病気に悩まされている人、年齢や社会的背景などを考えながらの治療を心がけています。